俺様外科医に求婚されました
それからほんの十数秒、車は走ったけれど。
「あの角にある家なんです」
私のその声で、車はゆっくりと徐行して家の前で停車した。
「ここ?」
助手席の窓から見える家を指差して、大和先生がそう聞いた。
「はい」
「でも、表札の名前」
「あ…ここは伯父の家で。色々あって、今は伯父の家でお世話になってるんです」
「色々って?」
「…色々は、色々です」
「何か困ってることでもあるのか?」
その言葉に、胸の奥がズキンと疼いた。
でも私は、平静を装い大和先生に笑顔を向ける。
「いえ…あ!今日はありがとうございました。せっかくの仮眠休憩だったのに、本当」
言いながら、シートベルトに手をかけようとした。
すると突然、何故かその手を掴まれて。
「理香子」
そう、名前を呼ばれた。