俺様外科医に求婚されました
目が覚めると、カーテンの隙間からは明るい光が差し込んでいた。
いつの間にか、寝てしまっていたらしい。
時刻は八時になろうとしていた。
ぐんと伸びをして起き上がると、私はすぐに休みの連絡を病院に入れた。
それからは、バタバタと時間が過ぎていった。
急いでシャワーを済ませて出かける用意をすると、一階に降りて伯母さん達に挨拶をしてから出ようとリビングのドアを開けた。
「おはようござ…」
だけどシーンとした空間に、言いかけていた言葉が止まる。
そこには誰もおらず、数秒考えた私はすぐに玄関に向かって家を出た。
伯父さんと小春ちゃんは、だいたいいつも八時前には家を出る。
だからすでに二人がいないのは日常的なものだ。
伯母さんも、今日は午前中予定があると言っていたし、もう出かけてしまったんだろう。
ぼんやりとそんなことを考えながら駅に向うと、私は電車に乗って駅からまた歩いた。
そして母のいる病院に、ようやくたどり着いたけれど…中に入り、病室に向かっていると、母のいる病室に近付くにつれ、何やら騒々しい声が聞こえてきた。
それは聞き慣れた、母の声だった。
慌てて病室に飛び込むと、二人の看護師さんが暴れる母の体を押さえていた。
「お母さん!」
驚いて駆け寄ると、看護師さんが私に言う。
「娘さんですか?今、お母さん興奮状態で」
「落ち着くよう、声をかけてください」
それを聞いた私は母に寄り添って、背中をさする。
「お母さん、大丈夫。大丈夫だから…暴れないで」
そして言いながら、母の手をそっと握った。
だけど母は、私のその手を振り払って。
「何なのあなた達は!誰か助けてー!」
大声で、そう叫んだ。