俺様外科医に求婚されました
滲んでいく諒太の顔を見上げ、私は言う。
「転職してきて早々に…看護師をナンパですか」
「おいおい、人聞きが悪いな」
そう言った諒太は喉で一度咳払いをして言った。
「ただの看護師ならナンパなんてしない。キミがあまりにも綺麗だったからだ。名前は?」
瞳に浮かぶ涙が、ポロポロとこぼれ落ちていく。
もう一度、はじめからーーー。
諒太に合わせるように、私は答えた。
「呼吸器内科担当の、望月理香子です」
「俺は、脳血管科の大和諒太。32歳、独身。ちなみに」
「彼女募集中、ですよね」
そう言って泣きながら笑うと、諒太はニッと笑って目を細めた。
同時に笑顔がこぼれたのは、五年ぶりのことだった。