俺様外科医に求婚されました
「一通り目は通せた?」
渡された書類を全て読み終えたタイミングで、吉田さんがそう言って戻ってきた。
「はい、今全部読み終わりました」
「そ。じゃあ、行きましょうか」
「はい」
私が返事をすると、吉田さんはスタスタと診察室の奥へ進んでいった。
その後を静かについていくと、輪になるように集まっていた六人の看護師達の前にたどり着いた。
「彼女が、朝礼で話した看護助手の望月さんよ。望月さん、一言挨拶してもらえるかしら」
吉田さんにそう言われ、私は慌てて口を開いた。
「今日からお世話になります、望月理香子です。小児ホスピスとは環境が変わってわからないことも多くあると思いますが、しっかり頑張りますのでよろしくお願いいたします」
挨拶は、最初が肝心。
私は深々と90度に腰を曲げ、お辞儀をした。
だけど、誠意を持って伝えた言葉はうまく伝わらなかったようで。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「簡単な雑用ばっかりだし、よほどのおバカじゃなければわからないことなんてないと思うけど」
「よほどのバカじゃなかったらね」
「確かにねー」
「まぁ仕事の邪魔にさえならなかったらいいんだけど」
「なったらどうする?」
「ちょっと!余計なこと言って諒太先生に告げ口でもされたらややこしいから、これくらいにしておきましょう」
と、最初に言葉を返してくれた一人以外は、茶化すような口ぶりでまともな声をかけてはくれなかった。