俺様外科医に求婚されました



「あ、そうだ相沢も。言っとくけどこの子には」

「わーかってるって。おまえのお気に入りにわざわざ手なんか出さないよ」

「ははっ、なら安心だ。おまえと恋敵にはなりたくないからな」


手術を終えたばかりのせいか、額にじんわりと汗を浮かべたまま、二人は会話を続ける。


「あ、そういや聞いた?火曜のBT患者、顔面痙攣もなく経過良好だって」

「ああ、藤田さんだっけ?あれ、腫瘍が神経根部に触れてなくて良かったよな。本当ギリギリのとこだったし」

「あと0.1ミリズレてたら術後に痙攣起こしてたかもしれないもんな」

「まぁ、まだ油断は出来ないけど。あ、それと昨日のHICHの患者だけど」

「あぁ!気になってたから後で見に行くつもりだったんだ。どうだ?意識は」


不思議でたまらなかった。
まるで、別人のように見えた。

つい1分ほど前までは、よそ見禁止だとかふざけていたはずの人なのに。

何なの?


医療用語を使い、真剣な眼差しで相沢先生と話し込む姿を見ていると、不覚にも医者らしくてカッコイイなんて思ってしまっている私は、どうかしているのかもしれない。

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