俺様外科医に求婚されました
「ふ…ふざけないで下さい」
サッと目を逸らした私は、目の前にあるジョッキに慌てて手を伸ばすとビールをゴクゴク喉に流し込んだ。
「こっち向いて」
「…嫌です」
「何で?」
「先生が…見てるからです」
隣から感じる視線に、何故だか鼓動が速くなっていく。
「何で見ちゃいけないんだ」
「…何でって」
「好意を持ってる相手を見ていたくなるのは人間の自然の道理だろ」
好意を持ってる?
この人は、私をからかって一体何が楽しいんだろう。
きっと冗談に決まってる。
ルックスが良い男なんて、みんなそうだ。
自分に自信があるから女を軽く見てる。迫れば落ちると、過信してるに違いない。
イケメンという部類の人と関わると、痛い目を見るだけなんだ。
ふと学生時代の苦い思い出を思い出した私は、咄嗟に口を開いていた。
「私は、ザ・イケメン!みたいな人が苦手なんです!」
「へっ?」
「カッコイイ人って自信家だし、余裕かましてるし…女の方から寄ってくるし…いちいち不安になるし」
「それから?」
「浮気するし、嘘つくし、別れてもすぐ違う女の子と付き合うし」
「で?」
「だから…嫌なんです!カッコイイ人の言うことは、何も信じられません!」
一体何の宣言をしているのか。
言った後の、シーンとなった空気でハッと我に返った。