自由帳【番外編やおまけたち】

『あ、お名刺は前に貰ってますから、大丈ーー』

『こっちには直通の番号と、メールアドレス書いてるから』


私の言葉を遮るように、佐々岡さんは言葉を被せる。


『へ? あ、はい、どうも……』


更にずい、と私の方へ差し出された名刺を、思わず両手で受け取る。
新しく作り直したのか、そこには確かに以前より情報量が多く載っていた。


・・・・・
・・・



ーーそんな流れで手に入れた佐々岡さんの二枚目の名刺は、私の机の上に飾ってある。


プリンターから吐き出された紙を手に自席へ戻ると、その名刺が視界に入った。
メモホルダーに挟んだ、やたらとお洒落な名刺。

あの点検で会ったのが最後で、もう三か月も経っていた。会社前に咲いていた桜も青々とした新緑へ変わり、鮮やかに芽吹いている。


(それにしても。コールセンターに聞きづらいことって……普通逆じゃない?!)


むしろ聞きづらいからこそコールセンターを勧めるべきなのに。
改めてあの時の佐々岡さんの言葉を考えると何だか可笑しい。それでもその分かりづらい優しさに気付いて嬉しくなってしまう。


(もしかして、自分を頼れ……ってこと?)


そんな深読みをしてしまうほど、自分の心が乱されつつあることにも気付いてしまった。
< 43 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop