自由帳【番外編やおまけたち】
『あ、お名刺は前に貰ってますから、大丈ーー』
『こっちには直通の番号と、メールアドレス書いてるから』
私の言葉を遮るように、佐々岡さんは言葉を被せる。
『へ? あ、はい、どうも……』
更にずい、と私の方へ差し出された名刺を、思わず両手で受け取る。
新しく作り直したのか、そこには確かに以前より情報量が多く載っていた。
・・・・・
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ーーそんな流れで手に入れた佐々岡さんの二枚目の名刺は、私の机の上に飾ってある。
プリンターから吐き出された紙を手に自席へ戻ると、その名刺が視界に入った。
メモホルダーに挟んだ、やたらとお洒落な名刺。
あの点検で会ったのが最後で、もう三か月も経っていた。会社前に咲いていた桜も青々とした新緑へ変わり、鮮やかに芽吹いている。
(それにしても。コールセンターに聞きづらいことって……普通逆じゃない?!)
むしろ聞きづらいからこそコールセンターを勧めるべきなのに。
改めてあの時の佐々岡さんの言葉を考えると何だか可笑しい。それでもその分かりづらい優しさに気付いて嬉しくなってしまう。
(もしかして、自分を頼れ……ってこと?)
そんな深読みをしてしまうほど、自分の心が乱されつつあることにも気付いてしまった。