自由帳【番外編やおまけたち】
呆気に取られていると、別テーブルのお客さんに配達し終わった佐々岡さんが、早足で一直線に向かってきた。
「北村!? 何やってんだよ。ここは相席居酒屋じゃないんだぞ!」
「なっ……知ってますよ!」
久し振りに会えたと言うのに、頭ごなしに叱られてつい大きな声が出る。そんな私たちの様子を見ていた寺内さんが、おそるおそる尋ねてくる。
「ちょうどいい所にサービス担当が通りかかったから、北村さんとこの担当者が誰なのか聞き出そうと思ったら……まさかのご本人登場?」
「ああ。異動になった柳沢さんから引き継いで、今は俺が担当してる」
ガガ、と椅子を引き、当たり前のように着席する。急に訪れた再会に、胸が締め付けられた。
ーー今の今まで、佐々岡さんのことを考えていたせいだ!
「それで、北村、ひとり? 桧山さんは?」
「今日、大きな会議があって皆そっちに行ってるんです。なので今日は、私だけ……」
「ふうん、そう」
「……」
夏だというのに氷のような真顔を向けられて、私はうっ、と押し黙った。