自由帳【番外編やおまけたち】
その、伝わってくる雰囲気だとか、喋り方とか。本当にちょっとした小さな小さな部分がいつもの佐々岡さんより穏やかに感じるのは、ここが会社じゃないからなのだろうか。
「ーー普通、あんなに何度も修理しに行かないから。顔を合わせ過ぎて正直、気を抜いてる」
「……」
訂正。やっぱりいつもの佐々岡さんでした。
しかも、想像と全く違う失礼なことをサラッと言われた気がする。
少なからず期待をしてしまった私の心拍数を返して欲しい。そうムッとしていると佐々岡さんの目元が少し緩んだ。
「悪い悪い。でも、出してくれるコーヒーは好きだな」
「……」
不意打ちにそんなことを告げられ、私の心拍数は再び急上昇。どうやら酔いも相まって普段より感受性が豊かになってしまっているようだ。
「でも、この前は飲んでくれなかったじゃないですか」
言ってしまってからハッと口元を押さえた。先ほどから酔いに任せてとんでもないことばかり口走っている気がする。
まるで縋っている様で、恥ずかしい。
「飲んでいって欲しいの?」
いつもの意地悪そうな表情ではなく、妙に真剣味を帯びた目をした佐々岡さんに問われる。
これだけは正直に答えなければ、と、私は少し息苦しいまま、無理やり深呼吸した。
「飲んでいって、欲しいです……」
「そう」
もうこれ以上は目を合わせ続けるのは苦しくて、私はジョッキの中身を減らすことに尽力した。