自由帳【番外編やおまけたち】

寺内さんと私の間に佐々岡さんが座ったものだから、そもそもの距離が近い。寺内さんが席を立った後も特に移動することもなく、丸テーブルだというのにまるでカウンター席のように二人、隣同士の近さで座っていることが、先ほどから私の行動をおかしくさせている。


「ところで、さ、最近は、どういう仕事をしてるんですか?」


そうして、やっとの思いで話題を変えることに成功した私へ、佐々岡さんはぽつりぽつりと近況を教えてくれた。新規の大型顧客にプリンター五十台を納品した時のドタバタ話や、貿易摩擦で大事な部品の供給が止まってしまい、急きょ遠くの工場まで在庫を探しに行った話。
冷静に見える彼がハプニングにどのくらい慌てたのかは、エピソードだけでは分からない。

けれど、普段は知ることのできない話を聞けて、彼を身近に感じて嬉しくなった。


「北村は? 最近どう?」

「どうもこうも、相変わらずですよ。冷房は壊れてますし。制服が夏服に替わったくらいで」

「ああ、そう言えばいつも制服着てたな。今日は着てないんだ」

「当たり前じゃないですか。……ちょっと、ジロジロ見ないでくださいよ!」

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