自由帳【番外編やおまけたち】
・・・・・

「ぷはっ」


やっと解放されたのは、エレベーターを降りてから。


「もう、何なんですか! 送るって、ビルの出口まで来てくれるってことですか?」


酸欠気味のせいで息苦しい。
喚きながら新鮮な空気をいっぱい吸い込んでいると、チャリン、と金属音がした。思わず音の鳴った方を見ると、佐々岡さんが小さなキーホルダーのようなものをポケットから出している。


「いや、家まで」


それはどう見てもーー車の、鍵だ。


「あんなにお酒飲んでおいて何の冗談……」


いくら酔っているとは言え、さすがにそこまで判断能力を失っている訳ではない。思わず後退ると大袈裟なため息が聞こえた。


「あれ、ノンアルだから」

「ええっ?!」


寺内さんも佐々岡さんも、車通勤なのでアルコールは摂っていないと聞かされ、思わず目が点になった。


「大体主催側がベロベロになる訳にはいかないだろ。ーーこっち、駐車場」


佐々岡さんは、ついて来いと言わんばかりに振り返って立ち止まった。憮然としながらも早足で追い付くと、彼の歩調が幾分穏やかになる。


「人がどんどん酔っぱらっていくサマを見るのは、なかなか面白かったな」


笑いを含んだその声が余計に羞恥を煽る。


「もう、放っておいてくださいっ」

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