自由帳【番外編やおまけたち】

「に、二度めまして……」

「そういうのいいから。早く乗って」


助手席のドアを開けた佐々岡さんに、強引に押し込まれた。
見た目よりふかふかのシート、黒で統一されている落ち着いた内装。

この車に乗るのは二回目だ。

シートに身を沈めながら、思わず目を瞑る。


一年くらい前だったかな、傘も持たずにいた雨の日に偶然会ってーー。

気まずくて家までではなく、近くの公園で降ろしてもらったんだ。

あの時借りた折り畳み傘、あの後ちゃんと佐々岡さんに返したっけ……。


・・・・・
・・・



「ーー北村」

「んん……」


肩を軽く揺すられて、ぼんやりと意識が浮上した。
焦点の定まらないままの私に、苦笑いが聞こえる。


「こんな短時間で寝るか、普通」

「寝て、ません……」


反射的に否定すると、大きなため息。


「思いっきり寝てただろ。……念のため鍵かけておいてよかった。ーーほら」


白いビニール袋の中から取り出されたのは、水の入ったペットボトルだった。押しつけられた手がひんやりして気持ちいい。フロントガラスの向こうに見えるコンビニから買ってきてくれたようだ。
一体、いつの間に。

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