自由帳【番外編やおまけたち】
「……」
車を降りる前にちゃんと言わなきゃ、と握り締めた手に力がこもる。今日は飲み過ぎて失敗してしまったけれど、その最悪な印象のまま会えなくなってしまうのはーー嫌だ!
「どうした? まさかまた寝てーー」
「あの……っ!」
腹を決めてぐるん!と振り向くと、運転席から身を乗り出して、信じられない程間近に迫った佐々岡さんの顔。
「…………」
あわや接触事故かと思われた瞬間、大きな温もりに後頭部が強く押される。
「わっ……ぷ」
唐突に視界が真っ暗になった。まだルームランプも点いておらず薄暗い車内ではあったのだが、顔が何かに覆われて目元まで何も見えないほどに暗闇だ。
そして顔を覆ったそれは、ほどよく温かかった。
「……ヤバい。今のちょっとグラッときた」
そんな独り言のような佐々岡さんの声が、頭上から降ってくる。
頭上から……?
「ええ?!」
「危ないから」
私が収まっている場所が佐々岡さんの胸元だと気付き、大混乱で体を引き剥がそうとするも、全く身動きが取れない。
後頭部に置かれた彼の手で押さえつけられていたのだ。