自由帳【番外編やおまけたち】
「佐々岡さんは何も悪くないです! わ、私が勝手に舞い上がってただけで……!」
「舞い上がるようなことなんてあった?」
「あっ! あの……その……」
すかさず突っ込まれて目が泳ぐ。
気付けば心の声が外に飛び出していて、私の頭の中はどう言い訳をしようかと考え始めていた。ぼんやりしていて全く思考がまとまらないが。
「このまま話してたら、北村また寝そう」
頭に回されていた手がパッと離された。あんなに望んでいたのに、いざそうされると途端に寂しく思ってしまう。カーエアコンのひんやりとした空気が、後頭部の温もりを瞬時に消していく。
いつまでも佐々岡さんの胸に頭を預けている訳にもいかず、ゆっくりと起き上がる。
「……」
ルームランプが点いて車内が明るくなった。一気に目に入ってきた光に慣れず、目を瞬かせる。ちら、と視線を横に向けると、温かみのある光で淡く色付いたシャツが飛び込んできた。先ほどまで自分があそこにいたと思うとどうにもいたたまれない。
ーーう、何だか気恥ずかしくてまともに顔が見られない。
無言のまま俯いて必死にカチャカチャとシートベルトを外していると、少し音量を落とした、落ち着いた心地良い声が聞こえた。