自由帳【番外編やおまけたち】
「今日みたいな大人数の飲み会は、当分控えろよ」
思わず手が止まる。
もう二度と来るなと言われているように感じても、おかしくない言葉だった。
「そんな、困ります!」
「困るって何で」
「だって、こういう機会でもないと会えないですし、携帯の番号とかも知らないし……それに私、前に借りた傘も返してないですよね? 次はそれも渡したいですし!」
「……」
一気に早口でまくし立てたせいで酸素が追い付かない。はあはあと肩で息をしていると、妙な沈黙が訪れた。何も言わない佐々岡さんの様子をそろりと窺う。
「……私、何か変なこと言いましたか?」
「北村は、酔うと危険だな……」
佐々岡さんは手の甲を額に押し当てながら、はあ、とひとつ大きく息を吐いた。
「傘のことは今の今まで忘れてたから気にしなくていいよ。そんな理由付けなくたって、お互いが会いたいと思えばすぐ会えるだろ。
ーーほら、携帯出して」
「携帯?」
「番号知らないって、自分で言ったんだろ。これ、俺の電話番号」
パッ! と目の前が眩しいくらいに明るくなった。私の手のひらを超える大きさのディスプレイが、数字の列と共に青白く光っている。
突然のことに何が何だか分からず、しばらくその光をぼんやりと見つめてしまっていた。