手をつないでも、戻れない……
「ええ。辛い事が無いなんて言ったらウソになるかもしれません。でも、俺は美緒の隣に必ず居ます。それだけは約束します」


「それならいいの…… 美緒の事、よろしくお願いします」

 コウちゃんは、女らしくしなやかに頭を下げた。



 私は、カウンターの奥から、ゆっくりと彼の元へ歩き出した。


「ありがとう…… コウちゃん……」


「まったく…… やっぱり、美緒はその方が似合うわよ」


 コウちゃんは、私のベージュのシンプルなワンピースを見て言った。


「そうだな……」

 彼も、肯いた。


「美緒も、座ったら?」

 コウちゃんが、彼の隣の席を見た。


 私は彼と目を合わせた。


「ごめん…… また、ゆっくり来るね」


 彼は、カクテルを飲み干すと、椅子から立ち上がった。


 正直、今は、早く彼と二人きりになりたった。


「それの方がいいみたいね」

  コウちゃんは、何かを含んだようにニヤリとした。


「ごちそうさま……」

 彼が、胸のポケットから財布を出した。


「今日はいいわ。奢らせて」

 コウちゃんは、手のひらを振った。


「今度、ゆっくりきます」

 彼は、少し申し訳なさそうに言った。


「是非」

 コウちゃんは、笑顔を私達に向けた。



 スナックhanaを出た私達は、手を繋いで歩いた。


 私は、彼と手を繋いでいるだけで、ただ、ただ、幸せだった……


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