手をつないでも、戻れない……
確かに、このまま追い掛けたとしても、彼女の気持は変わらないだろう。
まずは、きちんと妻と話をしなければならない。
俺は、妻と向き合うように移動して座った。
しかし、妻は何かを考えているようで、少し上を向いて黙ってしまった。
「彩香……」
俺は覚悟を決め、妻の名を呼んだ。
しかし、俺の声は届かず、
「あっ!」
突然、妻は声を上げ俺を見た。
妻と重なった目に、俺は始めて妻と向き合った気がした。
「どうした?」
「ずっと、どこかで見たことあると思っていたのよね?
彼女、どこかの福祉施設で働いているでしょ? 一度、うちの病院で会った事があるわ。本当にいい支援していた…… パニックになっている人と、きちんと向き合って、信頼関係がなきゃ、とてもあんなふうに落ち着かせる事はできない。すごい人だと思った」
妻が女としてではなく、看護師の目線で彼女を認めているのだと感じた。
俺は、そんな妻を、人として立派な奴だと認めざるお得なかった。
「おまえ…… 分かっていたのか?」
「私だって、これでもあなたの妻よ。あなたが、軽い女と遊んだり出来る人じゃない事ぐらいは分かってるわ。それに、彼女の顔を見た時のあなたの驚いた顔……」
妻は面白そうに、ふっと笑った。
「彩香…… すまない……」
「どんな人を、あなたが十五年間思い続けてきたのか知りたかったの。それから、あなたの話を聞こうと思っていたの」
「ああ、彼女が、十五年前付き合っていて別れた人だ……」
口にしてしまうと、胸の中が軽くなると同時に暖かい物が流れ込んできた。
そして、妻に対して申し訳ない気持ちも当然湧いてくる。
「誤解しないで、別に、あなたも彼女も責めるつもりなんてないのよ」
「えっ?」
思わず、俺は妻を驚いた目で見てしまった。
まずは、きちんと妻と話をしなければならない。
俺は、妻と向き合うように移動して座った。
しかし、妻は何かを考えているようで、少し上を向いて黙ってしまった。
「彩香……」
俺は覚悟を決め、妻の名を呼んだ。
しかし、俺の声は届かず、
「あっ!」
突然、妻は声を上げ俺を見た。
妻と重なった目に、俺は始めて妻と向き合った気がした。
「どうした?」
「ずっと、どこかで見たことあると思っていたのよね?
彼女、どこかの福祉施設で働いているでしょ? 一度、うちの病院で会った事があるわ。本当にいい支援していた…… パニックになっている人と、きちんと向き合って、信頼関係がなきゃ、とてもあんなふうに落ち着かせる事はできない。すごい人だと思った」
妻が女としてではなく、看護師の目線で彼女を認めているのだと感じた。
俺は、そんな妻を、人として立派な奴だと認めざるお得なかった。
「おまえ…… 分かっていたのか?」
「私だって、これでもあなたの妻よ。あなたが、軽い女と遊んだり出来る人じゃない事ぐらいは分かってるわ。それに、彼女の顔を見た時のあなたの驚いた顔……」
妻は面白そうに、ふっと笑った。
「彩香…… すまない……」
「どんな人を、あなたが十五年間思い続けてきたのか知りたかったの。それから、あなたの話を聞こうと思っていたの」
「ああ、彼女が、十五年前付き合っていて別れた人だ……」
口にしてしまうと、胸の中が軽くなると同時に暖かい物が流れ込んできた。
そして、妻に対して申し訳ない気持ちも当然湧いてくる。
「誤解しないで、別に、あなたも彼女も責めるつもりなんてないのよ」
「えっ?」
思わず、俺は妻を驚いた目で見てしまった。