手をつないでも、戻れない……
「美緒に触れんじゃねえ…… 美緒は俺に惚れてんだよ! 俺が誰よりも愛してる女なんだよ!」

 彼は、雅哉をギッと睨んだ。


「くそっ! なんでなんだよ……」


「ごめんなさい…… 私は…… 私は樹さんじゃなきゃダメなの……」


 泣きながら、頭を下げる私の肩を、彼がギュウッと引き寄せた。



 雅哉は、項垂れるようにしゃがみこんだ。


「僕だって、諦めたつもりでいたのに…… こんな姿みたから…… でも、美緒さん、幸せになれるの? また、傷つくかもしれないよ……」

 雅哉は、切なそうに私を見上げた……



「うん…… それでもいい……」


 私は、彼の手を掴んだ……



 雅哉は、立ち上がって重々しく背を向けた。


「もう、俺は、助けてやれないからな!」

 雅哉の言葉は、突き放すようでいて、切なさと優しさが溢れているように聞こえた。



「本当に、ありがとう…… ごめんなさい……」


 私は、雅哉の背中に向かって言った。


 雅哉は、振り返らずに、軽く手を上げ去って行った。



 その姿に、私は彼から手を離した……
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