手をつないでも、戻れない……
 だが、彼の手が、もう一度私の手を握り返してきた。


「でも、もう、戻れないよ…… いっぱい人を傷つけちゃった……」


 私は、どうにもならない気持ちを口にした。



 すると、かれの手が、私の手に絡むように繋いできた。


「そうだな…… いくら望んでも十五年前に、俺達は戻れない……」



「樹さん……」


 彼の言葉に、戻る事の出来ない現実を知らされて気がした。

 やっぱり、別れが待っているのだ……



「俺も、美緒も背負っているものが、十五年前とは違ってしまった。だから、戻る事は出来ないけど…… 
 俺達、二人でこれからを一緒に進んでいかないか?」


 彼は、繋いだ手に力を入れ、私を見た。


「えっ? これからを一緒に……」


 私は、驚いて彼の目を見た。


「そう…… 戻るんじゃない。前に進むんだ……」


「私が、樹さんの隣にいていいの?」


「ああ…… 美緒に居て欲しい……」


 私は、繋いだ手を自然と握り返していた。



 繋いだ手から、苦しみが溶けて、全ての思いが伝わる気がした。


「もう、この手を離さないから……」


 彼は、そう言って、手を繋いだまま、私を胸の中に閉じ込めた。


 ずっと、愛おしくてたまらなかった胸に、涙が溢れ出した。



「好き………」

 私は、掠れる声に、ありったけの気持ちを込めた……

< 99 / 105 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop