求めよ、さらば与えられん
パパはそう言うけど、ダメだよ。笑えない。だっていつも大きく見えるパパが小さく見えるから……。



「お父様!! どう言う事ですの!?」



女の人の甲高い声が耳に響いた。色んなところから怒ったような声がする。


怖い。


怖いよ……。


両手で耳を押さえてうずくまった。そしたら頭をポンポンと撫でられた。



「私の許可なく言葉を発する事は許さぬ」

「ですがおと__」

「聞けぬ者は即刻出て行け」



パパの声は知らない人みたいだった。こんなに低い声知らない。今日はヘンリーもパパも知らない人みたい。



「ベアトリーチェ、怖い思いをさせてすまない」



でも私に掛けてくれる言葉は優しい。ホッとしたら涙が出てきた。慌てて拭いてパパに抱きついた。


レミーにしたみたいに“治りますように”と想いを込めた。



「ベアトリーチェ」

「…………」

「顔を上げてごらん」

「…………」



中々顔を上げられなかった。またあの青白い顔をみたらこの怖い気持ちがもっとおっきくなる気がした。





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