求めよ、さらば与えられん
頭を優しく撫でられた。



「皆部屋から出て行け」



パパの声と一緒に胸が震えた。


部屋の中はザワザワし始めた。



「ヘンリー、お前はよい」



女の人がすごく騒いでた。でも少し経ったらシーンと静かになった。


ゆっくり顔を上げたらパパと目があった。周りを見るとパパとヘンリー以外居なくなってた。



「ベアトリーチェ」

「…………」

「もういい」

「え?」

「私に力を使ってくれているね?」



パパに手をギュッと握られて泣きそうなった。大きくてあったかい手。でもいつもより冷たい。



「私は病気だ」

「びょうき? 私がパパを治すよ! だから早く元気になってよ!」

「いいかい、ベアトリーチェ。 よく聴きなさい。 お前のその力はどんな怪我でも治すことが出来るだろう。 だが、病気や人の寿命は変えられない」

「じゅ、みょう?」

「この世に生きる全ての生物……人や動物や草木……それらはそれぞれ生きられる時間が違うんだよ。 そして私とベアトリーチェ、ヘンリー、みなどのくらい生きていられるかは神しか知らぬ」



泣きたくないのにどんどん溢れていく。拭いても拭いても濡れてる。それがどうしようもなく悲しかった。





< 16 / 334 >

この作品をシェア

pagetop