求めよ、さらば与えられん
パメラ王妃の細くて長い指先が私の頬に触れた。まるで血が通っていないような冷たさ。



「ねぇ、運命って信じる?」

「…………」

「わたくしは信じたわ。 貴女と再会したあの日にね」

「……再会? あの日?」



良くも悪くもこんな人と一度会っていればきっと忘れない。



「毒をプレゼントしたでしょう? まだ幼き頃にね」



それって……嘘、まさか……。



「っ__エデ、伯母さま……?」



信じられない気持ちながらそう言った。


彼女の口角が静かに上がっていった。細められた目の奥は笑ってない。潜む闇に飲み込まれてしまいそう。


心臓が騒がしく脈打ち始める。



「後宮にずっと閉じこもっていたから、貴女がこの城の中に居ることに気が付かなかったわ。 でもね、クリストフのバースデーパーティーの時に一眼貴女を見て直ぐに分かったわ……わたくしの可愛い姪、ベアトリーチェだと」



可愛い姪?この人何言ってるの?嘘ばっかりッ……!



「だったら何で殺そうとしたの!?」

「違うわ、ベアトリーチェ。 誤解よ。 貴女を殺すつもりは無かったのよ?」

「じゃあ…最初からママ、を__」



瞬きをしたら勢いよく涙が零れ落ちた。そんな私の顔を見ながらエデ伯母さまは声を荒げて笑った。



「そう! 目障りなアヴァを消したかったの! あははははっ! あの子ったら思った通りの行動を取ってくれるものだから、笑いが止まらなかったわ。 でも__」



一瞬にして笑顔が消えた。感情の読み取れない表情に恐ろしさが増していく。



「思い通り過ぎて退屈な遊びだったわ」





< 280 / 334 >

この作品をシェア

pagetop