求めよ、さらば与えられん
ジーン王子の部屋に着くまでいろんな人に見られた。自分がどんな顔してるのか……どんな顔をしたらいいのか分からなくて、周りの人の顔をあまりみられなかった。


部屋に入るなり離された手。冷んやりした。それをとても寂しく思った。



「適当に座れ」

「…………」



長いソファーの隅っこに座った。


広くて豪華な部屋なんて、国王陛下のお部屋で慣れてるはずなのに落ち着かない。ソワソワする。


豪華な装飾。シャンデリアが太陽の陽を浴びてキラキラ輝いている。


_コンコンコン。



「失礼いたします。 お薬をお持ちいたしました」

「そこのテーブルに置いてくれ」

「手当ては__」

「する必要はない」

「畏まりました」



メイドは薬を置くと、速やかに部屋から出て行った。



「何をしている」



薬を取ろうとしたら止められた。頭の中にハテナが浮かぶ。



「手当てしようと思って……」

「俺がやる」



今、なんと……?



「だ、大丈夫! 自分でできるよ!」



急に何!?普段冷たいからこの優しさは反則だよ!いや……パーティーの時から優しい?ん?実は優しい人だったとか?





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