【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔

唐澤さんの頬が赤く染まる。


「ベビードールってやつ?」
「ベビードールというんですねっ! この唐澤、あんな可愛らしい官能的な下着を見るのは初めてでしてっ。申し訳程度に隠す下着とか総レースの隠してるのに隠してない下着は知ってましたが。かわいさと官能を相い持たせたのは……いやあかわいかったなあ……あのスルスルの生地の上からお肌を撫でたら。ああっ、申し訳こざいませんっ、女性の前で他の女性の話をしてしまって!」


そこじゃないんだけど、と心の中で突っ込みつつ、私はさらに不安になった。雅さんはベビードール姿の咲希さんと一晩中一緒にいて、欲情したりしなかったんだろうか。


「雅さんはどんな格好を?」
「もう支度を済まされて、いつものスリーピースでした」
「そう」
「雅副社長に限って、とは思いますが。実は雲行きが怪しくて。万が一に備えて心の準備はしておいてください」
「万が一?」
「咲希さまの色香に誘われる、という懸念もそうですが、二階堂オーナーがさらなるごり押しをされるかもしれませんし」
「そう。私は早速、嫌がらせ工作を受けたんだけど」
「もう、でございますかっ! いったいどんなっ?」
「私が目を付けた内科医院と歯科医院。すでにブライアントホテルから融資を持ちかけられてた。武田さんのスイーツショップは大丈夫みたいだけど」
「さすが二階堂オーナー……。他の誘致候補も怪しいですね」
「溶けちゃうから唐澤さんどうぞ」
「ありがとうございますっ!」


お預けを解除された子犬のように唐澤さんはパフェを食べ始めた。
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