【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
「今日はなにか。というか、私、雅さん……副社長と別れたんですけど、副社長から聞いてませんか?」
「聞いてますよーっ! なので本日は仕事の件でかけさせていただきましたっ!」


はい? と思いつつも用件を聞いた。再開発のデータについてもう一度確認したいことがあるから時間を作ってほしいとのことだった。例の社用車で迎えに来るというので私はベッドを降りた。 



*―*―*

淡いピンクのTシャツにブルーのチェックのシャツを羽織って現れた唐澤さんは、いつものテンションで前回と同じように助手席のドアを開けた。もう雅さんの婚約者じゃないんだから、こんなことをしなくてもいい、と言っても譲らなくて。


「我慢できなくて昨夜、桜ホリックタワーパフェ食べにいきましたっ! なかなかの美味でっ!!」
「うちで買ってるジャンガリアンハムスターのつぶらな瞳がたまらないんですっ!!」


などなど。
移動中、唐澤さんのハイテンショントークに雅さんを思い出すことはなかった。

気を遣ってくれてるんだろうと思う。やっぱり唐澤さんはいいひとだ。雅さんが言ったとおり、空気の読めるひとなんだ、って。そして雅さんは、ぱっと見ではなく、中身で人間性を判断するひとなんだとも。
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