【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
「失礼しますっ! 二階堂オーナーと咲希さまをお連れしましたっ!!」
翌日、副社長室で待機していると、ファンファーレのごとく唐澤さんはやってきて、ふたりを中に招き入れた。
仰々しい格好の二階堂氏、かわいいワンピースを着た咲希さん。
副社長室にいた私を見るなり、二階堂氏は顔をしかめた。馬鹿にしたように、ふん、と鼻を鳴らす。そんなことで私はひるまない。
「なんだね、雅くん。どうしてこの女がいる?」
「お約束通り、咲希さんとの同棲期間は終了しました」
「ああ。では咲希との婚約を進めようか」
「その件ですが、お断りします」
「はああ? 何を言ってるのかね」
「私はこの藍本紬と結婚します」
二階堂氏の顔がみるみる赤くなる。まるで茹で蛸だ。
これはまずい状況だ。隣にいる雅さんを見上げる。凛とした表情で全く動じていない。向かいにいる二階堂氏を睨みつけている。
隣に立つ咲希さんは、口をあわあわとさせて、父親と雅さんを交互に見る。そんな咲希さんを心配そうに唐澤さんは見つめていて。
「そんなことをすれば、雅くん、わかっているのかね?」
「仕事とプライベートは別、とお考えいただきたいものです」
「こんな若造に説教されるとは私も落ちぶれたものだ。今回の誘致はなかったことにしてもらいたい」
「もう正式な契約は済んでいます」
「それは咲希との結婚が前提だろう?」
「いえ。同棲を条件に、というお話でした」
「それは屁理屈だよ、君。私はホテル協会の会長だ。今後一切、協会会員のホテルは三國不動産とは手を組ませない。それでもいいんだね、雅くん?」
翌日、副社長室で待機していると、ファンファーレのごとく唐澤さんはやってきて、ふたりを中に招き入れた。
仰々しい格好の二階堂氏、かわいいワンピースを着た咲希さん。
副社長室にいた私を見るなり、二階堂氏は顔をしかめた。馬鹿にしたように、ふん、と鼻を鳴らす。そんなことで私はひるまない。
「なんだね、雅くん。どうしてこの女がいる?」
「お約束通り、咲希さんとの同棲期間は終了しました」
「ああ。では咲希との婚約を進めようか」
「その件ですが、お断りします」
「はああ? 何を言ってるのかね」
「私はこの藍本紬と結婚します」
二階堂氏の顔がみるみる赤くなる。まるで茹で蛸だ。
これはまずい状況だ。隣にいる雅さんを見上げる。凛とした表情で全く動じていない。向かいにいる二階堂氏を睨みつけている。
隣に立つ咲希さんは、口をあわあわとさせて、父親と雅さんを交互に見る。そんな咲希さんを心配そうに唐澤さんは見つめていて。
「そんなことをすれば、雅くん、わかっているのかね?」
「仕事とプライベートは別、とお考えいただきたいものです」
「こんな若造に説教されるとは私も落ちぶれたものだ。今回の誘致はなかったことにしてもらいたい」
「もう正式な契約は済んでいます」
「それは咲希との結婚が前提だろう?」
「いえ。同棲を条件に、というお話でした」
「それは屁理屈だよ、君。私はホテル協会の会長だ。今後一切、協会会員のホテルは三國不動産とは手を組ませない。それでもいいんだね、雅くん?」