【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔

どうしたらいいんだろう。私が身を引きます!、では誰も幸せになれない。

先生を好きな咲希さんも、咲希さんを好きな唐澤さんも、娘の幸せを願う二階堂氏も、私も、そして……きっと雅さんも。


「咲希さん……」


気付くと、私は声を漏らしていた。
その声に咲希さんが私を見つめる。

私は、うん、と頷いた。


「お父さまっ!」


咲希さんが声を上げた。


「私からもお願いします……このお話はなかったことにしてください」
「咲希? どうしてだ? 咲希は雅くんが好きなんだろう?」
「違うんです。やっぱり私は……お父さま、ごめんなさい……あの……」


咲希さんが頬を赤く染め、瞳を潤ませた。それを見た唐澤さんはさらに心配そうに見つめる。


「おい、咲希。だまっていてはわからんだろう?」
「あの……」
「あの、二階堂さま! ここではなんですから、別室でお話いたしましょう!! 貴賓室にご案内いたしますっ!! どうぞっ! さあ咲希さんも!!」
「いいの、唐澤さん。ここで話します。私、好きなひとがいます」
「誰なんだ、咲希」
「それは言えません、片思いだから。でも結婚するなら本当に好きになったひととしたいって今回のことで思いました」
「じゃあなぜ、雅くんと結婚したいと言ったんだ?」
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