【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
「それは……お父さまとお母さまを喜ばせたくて……」
「なんだと? 咲希、いま、なんて……」
二階堂氏は眉を寄せて咲希さんを見つめる。咲希さんは今にも泣き出しそうな顔をしていた。二階堂氏の鬼の形相はすぐに崩れた。娘にはめっぽう弱いどこにでもいる父親そのものだ。
「ひょっとして、養子だというのを気にして、か?」
「ごめんなさい……」
「咲希?」
咲希さんの目から水滴がこぼれ落ちていく。あわあわとする二階堂氏、そして唐澤さんも。
「二階堂さま、咲希さまっ!! さあ、貴賓室に行きましょう!!」
娘の涙に陥落したのか、二階堂氏は唐澤さんの言葉にうなずいた。
「み、雅くん。この話はまた後で、だ」
「もちろんですとも。唐澤、頼む」
「はいっ!!」
唐澤さんは咲希さんの背中に手を当てて、副社長室を出て行く。