【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
「じゃあたくさんいたんですね」
「数え切れないくらいにね。イチイチ名前なんて覚えてない。そうそう、一度ね、間違えて名を呼んだことがあったんだ。ベッドの上で泣き出されて困ってね。それ以来女の子はみんなハニー。これなら間違えようもないからね。いい言葉だね」


クスクスと自虐的に笑う雅さんに、一瞬、私の胸がチクリとした。雅さんが私をハニーと呼ぶのは、通りすがりの女だから?
プロポーズなんて本当は軽い気持ちで言ったとか。からかっただけ……とか。

玄関で性急に私を求めてきたのは、ただ単に性欲のはけ口として、ここに私を呼んだから……?

そんな私の憶測を知ることのない雅さんは、柔らかい笑顔で渡しを見つめる。艶っぽい色気のある視線。それだけどで私は翻弄されてしまう。

好き。このひとが欲しい。でも。

乾杯しようか、と雅さんが言い、互いにグラスを持つ。薄いガラスを重なり合わせて軽い音を立てた。
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