【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
雅さんは納得したように表情を緩め、私の手の甲にキスを落とす。まるで泣いている幼子をなだめるような優しい顔で。

異国の王子様を彷彿とさせる雰囲気。白い肌と凛とした瞳がそうさせている。
雅さんの唇は手の甲から指先に向かった。小さなリップ音とともに爪にキスを落とされた。


「君をね……っと、まずはあっちが先だね」


玄関の向こうにいるデリバリーがしびれを切らしたのか、再びドアベルが鳴ったのだ。雅さんは立ち上がり、玄関に向かった。

玄関からデリバリーとのやりとりが聞こえる。今日は風が強かったね、テラス席のパラソルは大丈夫だった?、と雅さんが世間話をしている。お客様の側なのに相手を労る雅さんは大人だ。そんなところも私は惹かれたはず。

そんな誠実な彼が私の気持ちを知って、夜遊びするはずはない。
でも。5年分の性欲とかハニーとか。

ドアの閉まる音がして雅さんは両手に袋を提げて戻ってきた。片方は冷菜、片方は温かい料理らしい。暖かな笑みを浮かべて。
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