【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
どうしたの、かしこまって、と彼は私の背に手を当てて私を中へと促す。すぐとなりにいる雅さんからイランイランの香りが漂ってきた。昨夜の出来事が思い出されて、急に心拍数が上がる。
「昨夜はありがとうございました。食事と指輪と……」
「今日はネックレスはつけてないの?」
「あまりにも高価で普段使いにはもったいなくて」
「つけててほしいなあ、毎日」
雅さんは目を細めて含みのある笑みを浮かべた。
あんなものを身に付けていたら昨夜のキスを思い出してしまう。熱を帯びた雅さんの舌先、ニットを通して伝わるか細いチェーンの力。逃げようと思えば逃げられたか弱い力が、頑丈な鎖のように私を縫いとめていたことを。
それを察知したかのように雅さんは笑う。私がそう反応することを見通して、優しく仕向ける。意地悪なのだ。
昨日と同じ位置にソファに腰掛け、雅さんのあざ笑う視線から逃げるようにタブレットを開いた。
「早速ですが、こちらが試算になります。前回と同じ業者にお願いした場合の概算です。社としてはブライアントホテルのセカンドラインであるホワイティアスプリングスでとの意向で」
「ああ。商業施設の方を見せてもらいたい。2社が候補に上がってると聞いたが」
「はい。で、こちらが……」
さっきまでの私の心を見透かすような意地悪な顔の雅さんは、からりと表情を変え、鋭く光る瞳になった。私はタブレットを操作しながら説明を加えていく。斜め向かいにいる雅さんは時折タブレットをのぞき込むので、小さな端末を2人で見るためにはどうしても顔の位置が近くなってしまう。
「駅南口から東口にかけてバスターミナルを設置予定で」
「その動線上に駅ビルを、か。先に出来た西口エリアとバッティングしない商業施設が望ましい、ということだな。非日常的な空間を意識して高級感を狙うか生活に重点を置いたショッピングモールか、という2社のどちらかで話を進めている訳か」
「昨夜はありがとうございました。食事と指輪と……」
「今日はネックレスはつけてないの?」
「あまりにも高価で普段使いにはもったいなくて」
「つけててほしいなあ、毎日」
雅さんは目を細めて含みのある笑みを浮かべた。
あんなものを身に付けていたら昨夜のキスを思い出してしまう。熱を帯びた雅さんの舌先、ニットを通して伝わるか細いチェーンの力。逃げようと思えば逃げられたか弱い力が、頑丈な鎖のように私を縫いとめていたことを。
それを察知したかのように雅さんは笑う。私がそう反応することを見通して、優しく仕向ける。意地悪なのだ。
昨日と同じ位置にソファに腰掛け、雅さんのあざ笑う視線から逃げるようにタブレットを開いた。
「早速ですが、こちらが試算になります。前回と同じ業者にお願いした場合の概算です。社としてはブライアントホテルのセカンドラインであるホワイティアスプリングスでとの意向で」
「ああ。商業施設の方を見せてもらいたい。2社が候補に上がってると聞いたが」
「はい。で、こちらが……」
さっきまでの私の心を見透かすような意地悪な顔の雅さんは、からりと表情を変え、鋭く光る瞳になった。私はタブレットを操作しながら説明を加えていく。斜め向かいにいる雅さんは時折タブレットをのぞき込むので、小さな端末を2人で見るためにはどうしても顔の位置が近くなってしまう。
「駅南口から東口にかけてバスターミナルを設置予定で」
「その動線上に駅ビルを、か。先に出来た西口エリアとバッティングしない商業施設が望ましい、ということだな。非日常的な空間を意識して高級感を狙うか生活に重点を置いたショッピングモールか、という2社のどちらかで話を進めている訳か」