【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
「ただ……どうしたの? 顔真っ赤にして、目も潤んでる。男なら勘違いするよ」


どうしよう。もう、見抜かれている。意地悪に微笑んで私の言葉を待っている。

もう、認めてしまえ……。


「か、勘違い……じゃない、です」
「ハニー?」
「だから、その……雅さんのことが……す……」


私の顎に雅さんの指が触れる。軽くつままれて上を向かされる。

ちゅ。
身を乗り出した雅さんが唇を重ねる。
私の言葉を遮り、触れるだけのキスを繰り返す。初恋を思わせるような甘酸っぱいキスに胸が苦しい。

少し唇が浮いて向きを変えようとする隙に私は口を開いた。


「でも私、雅さんと知り合って1週間も経ってないのに」
「恋に落ちるのに時間って必要なの?」
「わかりませ……」


まだしゃべっている途中なのに雅さんは私の口を塞いだ。中途半端に開いた私の唇から熱を帯びた雅さんの舌がすべり込む。私の舌を誘い出すように探っている。ほんの少し触れては離れ、離れては触れる。甘く焦れた舌にもっと応えるべきか悩んでいると。


ピピ、ピー。ドアロックが解除される音がした。私はとっさに雅さんを突き放し、慌てて姿勢を正した。

予想通り、開いたドアから現れたのは唐澤さんだ。


「失礼しますっ、唐澤です! あなたのためにコーヒーを入れてきましたーっ!」



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