甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
「そういえばちーちゃんは何しに来たの?」
「あ、そうだった!
結愛!数学の教科書貸して!忘れてきちゃったんだよ~」
お礼に放課後なんかおごるから!
なんて言いながら両手を合わせて必死に頼んでくるちーちゃん。
勉強に関してはどこか抜けてるところがあるちーちゃんは、こうしてよく私のところに教科書やら勉強道具を借りにくる。
「はい。
そんなおごるなんていいよ。今日もバイトだし」
まだ新しい数学の教科書を鞄から出してちーちゃんに渡す。
ちーちゃんは教科書をお礼を言いながら受け取ると、僅かに眉間にシワを寄せた。
「今日もバイトなの?無理しすぎじゃない、結愛」
確かに毎日放課後から夜遅くまでバイトしてるから、疲れは溜まっていく。
だからただ聞いてるだけの授業は眠くなる。
でも……
「大丈夫だよ!ほら、私、元気がいいのが取り柄だからさ!」
これ以上心配かけたくないから。
だから私は今日も平静を装う。