××夫婦、溺愛のなれそめ
お茶を飲みながら、レヴィは笑った。その瞳が寂しそうに揺らぐ。
「母は作らなかった。代わりに、お手伝いのおばさんが作ってくれた」
ほら、私が初めてじゃないじゃない。って、え?
「お手伝いさん……」
「母は自由奔放な人でね。まだ乳飲み子の僕をベビーシッターに預けて海外旅行に行ってしまうような」
う、うう~ん。まあ、考え方はひとそれぞれだけど……子供の立場からしたらそれは、ちょっと寂しいかも……。
「そんなわけで、決して悪い人ではないし家にいるときは優しいけど、いかんせん僕の幼稚園や学校行事も把握していない。していても、自分の遊行が優先だから、僕のお弁当なんて、作るわけない」
「でも、基本は家にいるんだよね?」
「いや、基本は海外で遊んでる。家にいるのは年間百日もないんじゃないかな。だから僕がグループから追い出されるかどうかのこの時期にもいないし……結婚したって関係ないと思われてるんだよ」
レヴィの声はいつも通り優しいけど、彼が話せば話すほど、心が重たくなっていく。
それって、育児放棄って言わない? お金持ちだもの、お手伝いさんはたくさんいただろう。でも、全然子供に関心を持たないってどうなの。