××夫婦、溺愛のなれそめ
くすくすと笑うレヴィ。詳しく話を聞くと、お父さんは「前に紹介してくれた人と違うから」と突然の結婚話の変更についてこられなかったらしい。まあ、それが普通よね。
結局は「妻が了解したのなら僕に拒否権はありません」と言って結婚を了承してくれたらしい。
自分よりお母さんが主体なのは昔から変わりないみたい。情けないと言うか、扱いやすいと言うか……。
「まあ、反対するとは思ってなかったけどね」
二人とも、私にあまり関心がないもの。元カレを紹介したときも、なんだか面倒くさそうだった。お母さんは早く仕事に戻りたくて、お父さんは早くゴロゴロしたかったんだろう。
「というわけで、改めて」
こほんとレヴィが咳払いする。私は愛着のない両親から思考を離れさせ、目の前にいる彼を見つめた。
「莉子。順番が違うけど……僕のお嫁さんになってください」
真っ直ぐに私を見つめるヘーゼルの瞳。いつも柔らかく微笑む彼の真剣な表情。
契約結婚であるはずなのに、どうしてこんな素敵なプロポーズをしてくれるの。
一瞬で胸がいっぱいになった。涙が溢れそうになる。
「はい。よろしくお願いいたします」
うなずいて、精一杯微笑んだ。