繋いだ歌【完結】
「考え直してくれましたか?」
「何度来ても気持ちは変わりません」
「貴方には才能があるんです。絶対に世に出すべきです」
「世になら出してる。だから、もうほっといてください」
「……世に出している?」
「出してます。ボカロに歌わせて」
「ボカロ。なるほど。なんて名前で活動していますか?」
「え、……ケーだけど」
「わかりました。今日のところはこれで引き下がります。また来ます」
もう来なくていいよ。と心の中で思ったけど、口には出さなかった。
その翌日、彼は来なかった。
やっと諦めたんだと思った。
ホッとしながら僕は家へと帰宅した。
その次の日も次の日も、新條さんは来なかった。
良かった。僕に平穏が訪れた。ゆっくりと曲制作が出来る。
そう思っていたのに、翌週の月曜日。校門の横に新條さんが立っていた。
僕を見つけるとすぐに僕に近付く。