たぶん、トクベツちがいな恋。
「…大丈夫。お前も、ちゃんとあの輪の中に入れるから。俺らに追いつくのも、すぐだよ」
持っていた包丁を置いて、少しだけ下がっていた頭に右手を乗せた。
そのまま、優しくポンポンと叩く。
「…バカにしてるでしょ」
「は?どこがだよ」
「そーいうとこ!子ども扱いしてる!」
「は!?」
さっきまでは大人しかったくせに、キッと俺の方を睨んだ茶々は、置かれていた俺の手をふりほどいた。
相変わらず、俺に対してはすぐに牙をむく。
本当は、弱ってたくせに。
「ていうかさあ! 普通女の子の頭をタコを触った手で触る!? 信じらんないバカ近海!」
「タコは触ってねーよ!包丁持ってた手だわ!」
「それでも嫌なのー!ばか!」
バシッと、右手の甲を叩かれて。茶々は2歩右へとずれた。
…もう、なんなんだコイツは。構って欲しいのかそうじゃないのかハッキリしろよ。
なんかこう、不安ごとがあると情緒不安定になる。それはもう昔からだ。それに、怒りをぶつけられるのは、大抵俺。
俺になら、八つ当たりしてもいいって思ってる。困ったやつだ。
「何そんなイライラしてんだよ。せっかく楽しいパーティーじゃん。しかも、珠理の誕生日」
「しかもって何よ。しかもって」
誰の誕生日だろうと変わりはない、なんて、またそんな不細工なことを言いながら不貞腐れている。
1年前までは、こんなことも言わなかったのに。まぁ、さすがに珠理にちゃんと彼女ができてしまったのだから、当たり前なのかもしれないけど。