たぶん、トクベツちがいな恋。
・・・
気がついたら、目の前の親友の手が視界を覆っていた。視界は一瞬、黒い影に包まれた。
「…ねぇ、オーミ?聞いてるの?」
「…」
さっきまでは、音も聞こえなかったのに、急に周りが騒がしくなってくる。目の前の手が遠のいたと思ったら、少し心配そうな珠理の顔が視界に入った。
…あぁ、俺はまた、昔を思い出して心ここにあらず状態になってたわけか。今やっと、現実に戻った。
「ごめん。ボーッとしてた」
「もう〜!せっかくこの間の写真を見せようって思ったのに」
「ごめんって。写真ってなに?この間の誕生日のやつ?」
「そう〜!めごたちに貰ったの。近海にもアルバム作って送るわね」
…珠理の誕生日から、1週間。いつものように東京に帰ってきて、今現在は大学の食堂。珠理とは学部も違うけど、突然呼ばれたので駆けつけてみたら、写真のことで俺は呼ばれたらしい。暇な奴だ。
珠理が嬉しそうにぴこぴことスマホをいじっているから、ハァとため息をつきつつ待っていたら、手の平に包まれていたスマホが鳴った。
「はい!近海のところにも送っておいたわよ」
画面には、【珠理】の文字。
「あぁ…。ありがとう」
「何その反応〜!少しくらい嬉しそうにしなさいよ」
ぷぅ、と頰を膨らませて、眉間に皺を寄せる珠理。あまりにも綺麗な顔がゆがんでも、まるで迫力がない。なんでこいつはこんなにも色々完璧なんだ。
「嬉しいよ、ありがとう」
「うわ、絶対思ってないわね」
「思ってるよ」
まったく、お前のせいで俺はまた色々思い出してたんだっつーの。
お前が茶々のことを泣かせてたことがあることを、本当に分かってたのかって問いたくなる。もう随分昔のことだから、掘り返すのはやめておくけど。
…そう、昔のことなんだ。もう、今となっては。
アルバムを開くと、ものすごい数の写真が表示された。女の子たちがみんなで自撮りをしたものもあれば、いつ撮られたか分からない写真とか、とにかくたくさん。
毎回、行事やみんなで集まった時の写真はこうやってアルバムにまとめられていくけど、今回は久しぶりの珠理の誕生日パーティーってことで、特に枚数が多い気がする。