たぶん、トクベツちがいな恋。


自分で言うのもどうかと思うけど、俺の大学は日本では誰もが聞いたことがある有名私立大学で、合格するには相当頑張らなきゃいけないわけで。

だから、茶々もあんなに必死になって勉強をしていたんだ。

そのランクが1つ上がった。それは、俺も少し、ホッとする。


「よかったな、頑張ったじゃん」

『うん。これでAまでいったから。ここまで上がれば安泰だって担任からも褒められた』

「だろうな!お前頑張ってたから、報われたんだよ」


何の電話かと思ったら。こんなことを報告してくるところが茶々らしくて顔がだらしなく緩んだ。しかも少し不機嫌そうなところを見ると、きっと電話の向こうで少し照れている。そんな気がする。


「もうすぐ12月入るからな。風邪ひかねーように気をつけろよ」


俺たちの電話を聞いていた珠理も、目の前でにっこりと笑った。コイツも、少しホッとした顔をしている。


『…近海』

「ん?」

『…次、いつ勉強教えてくれる?』

「…」


報告が終わったから、速攻で電話を切られるんだと思ってた。あんまり電話なんてかけてくる奴じゃないから。

でも、俺の忠告を無視してそんなことを聞いてくるもんだから、少し珍しくて思わず一瞬間ができてしまった。


「え…っと、俺はいつでも。土日なら空いてるし。バイト入ってなければ」

『いつでもってわけにはいかないでしょ…。東京から鎌倉までって遠いし』

「そんなことねーよ。電車ならすぐだって」

『…』


…?

普段は、あんまりこんなこと聞いて来ないくせに。いつも、俺から「勉強する?」って誘っていたのに。


「…今日、金曜だし。明日行こうか、そっちに」


そんなこと、お前から言われたら、ちょっと会いたくなってくる。
生意気な顔を、見たくなってくる。



『…別に、いつでもいいけど』


…ま、そう返されるって分かってはいたけどな。

「いつでもいいなら明日行ってやるよ。12時に鎌倉駅な」

『…』

「わかった?良いなら返事」

『…わかった』


それでいいなら、素直にそう言えばいいのに。でも、素直じゃないところも、たぶん、茶々のことが好きな理由のひとつ。


悔しいけど。

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