たぶん、トクベツちがいな恋。
そんなことを考えていると、司会に入っていた自分のスニーカーにうっすらと影ができた。
その影が動いたことにハッとして顔を上げると、1週間ぶりのツインテールが目に入る。
「…茶々」
耳につけていたイヤホンをとって、その姿を目に入れる。私服だ。別に初めて見るわけではないけれど、ほぼ制服姿しか見たことがない俺にとっては新鮮。
白のダッフルコートだ。コイツらしい。
「早かったじゃん。まだ55分だよ」
「は?なにが?5分前行動なんて、人間の常識でしょ。甘いこと言ってんじゃないわよ」
12時ピッタリくらいに来るかと思っていた。俺との約束でも、ちゃんと早めに来てくれることが嬉しかった。
…改めて、ハードルが低いんだな、俺。
「はは。なるほど、常識ね」
「は…?何笑ってんの…?」
「なんでもねーよ。それより、この間の模試、頑張ったじゃん。よかったな」
「…それ、電話でも言われたんだけど」
「会っても褒めたいと思ったから今言ってんじゃん」
今日は、珠理もめごちゃんも瀬名ちゃんもいない。俺と茶々の2人だけだ。
「なに…?今日のオーミ、変にやさしくてキモイ」
今、目の前に茶々がいること。その事実を感じると、しかめた表情も可愛く見えた。コイツは勉強のために来ているわけだから、こんなこと口が裂けても言えないけど。
「別に変じゃねーよ。つーかどこで勉強する?どっかカフェに入る?」
「…ん。チョコレートカフェに行きたい。チョコが食べたい」
「相変わらず甘党だな…」
鎌倉駅西口にあるチョコレートカフェは、茶々のお気に入り。
ツインテールを揺らしながら、少し軽い足取りで店の方に歩いている茶々を、後ろから追った。