たぶん、トクベツちがいな恋。
「…茶々ちゃん、頑張ってるね。ミノくんと近海くんと同じ大学に行きたいんだね」
「…うん」
「受かるといーね」
「うん」
なんとも言えない気持ちになって、瀬名ちゃんの方を見る。彼女は、やさしい顔で笑ってくれた。
茶々が、どうしてめごちゃんや瀬名ちゃんに懐いたのかが分かる。一緒にいて、落ち着くからだ。俺だって同じ。
言葉にはしなくても、分かってくれている気がする。目に見えないやさしさが、溢れている。
「…あ!ミノくん、めごも。あと10秒で年が明けるよ…!」
「えっ!?あっ、ほんとだ!!!」
「時計時計! さん…、に…、いち……」
一歩ずつ、変化していく。
きっと、時間とともに、俺たちも。
「ぜろ〜〜!!あけおめ〜〜!!」
「はっぴーにゅーいや〜!」
「今年もよろしく〜!」
0時0分になった画面を見つめた。
こいつらだけじゃなくて、お店にいた全員が、声を上げてお祝いしていた。
…年越しが、こんなファミレスでいいのかよって思うけど。
それよりも、こうやって高校の頃とは違う過ごし方ができることに、嬉しい気持ちも湧き上がってくる。
茶々は、今、どんな時間を過ごしているのだろうか。
「ねえねえ、どうする?鶴岡八幡宮に並ぶ?それとも、初日の出を由比ヶ浜まで見に行く?」
「あ〜そうだね初日の出!すっかり忘れてた。行く?」
「行こう行こう!」
次から次へと、予定が変更されていく。色々と怒りが湧き上がってきたりもするけど、もうなんだっていい。
楽しいなら、そうすればいい。
『茶々、明けましておめでとう』
隣で騒いでいる3人にため息をつきつつも、楽しい空間を感じながら、茶々にメッセージを送った。