和泉くんの考えてることはわからない。
「ユキのことが好きで、ずっとそばにいた。あいつが勝手に引っ越したときは怒りと後悔で相当荒れたよ。真も手がつけられないくらいにね。どう?満足した?」
淡々とただ言葉だけを繋いだように説明した蒼くんは、冷静に私の目をまっすぐと見つめる。
ずるい。
自分で聞いたことなのに、その説明で口を閉じる。
そのまま口をキュッと結んで俯くと、そうはさせないと蒼くんが私の顎を持ち上げた。
バチっと目があって、目を逸らしたくなる。
自分で聞いておいて落ち込むだなんて、私、めんどくさいよね。
「バーカ」
「んぐ…っ」
次の瞬間、私の顎を持ち上げた手が離れて、その手に次は頬を掴まれた。