“あなたを愛しています”





「ごめん……」



謝る私に、



「なんで謝るのぉ?」



相変わらずの司君節で言う。

だが、そののほほんとした言葉を聞いて安心したのも事実。

司君、本当に嫌がっていないんだと思った。




それでも、司君には醜いところを見せてしまった。

お客様に感情的になって……




「司君みたいに、優しい人になりたかったな」




心からそう思う。

基本的にお人好しでイエスマンの私だが、時に無理し過ぎてプチンと切れる。

かつて、司君にもキレたみたいに。

それならば、はじめから無理しなければいいのに。

そんなこと、百も承知だ。


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