“あなたを愛しています”
嫌な予感を抱えたまま、ホテルを出る。
今日は珍しく六時に帰ることが出来た。
冬の街は相変わらず真っ暗だが、いつもは見ない制服を着た高校生が街を歩いている。
「今日さー、数学の授業寝ちゃったんだよねー」
「知ってる!林君がすっごい顔で見てたよ?」
「まっ、マジでー!?やだぁ、恥ずかしい」
私にもあんな時代があったなぁ。
ぼんやりと彼女たちを見ていた私だが……
ふと、前方の人混みの中に、見慣れた背中を見つけた気がした。
だがそれは一瞬で、次の瞬間には見えなくなってしまう。
まさかね……
まさか……
そう思うが、気になってそれを追いかけてしまう。
司君、そこにいるの?
少しだけでも顔を見られるの?