“あなたを愛しています”




花奈ちゃんに初めて会ったあの日、寒く凍える夜中の街でパスポートを探してくれた。

優しい人なのかなと思ったら、急にキツイことビシッと言ったり。

それでいて、俺の生けた花を見て頰を染めたり。

華道なんてやっていて、いいことはなかった。

モテるのはサッカー部やバスケ部だった。

だから、仕方なく始めた仕事のことも、友達には黙っていた。

だけど……あの輝く花奈ちゃんの顔を見て……華道をしていて良かったと初めて思った。

全否定していた俺の人生を、少しだけ受け入れることが出来たのだ。

そんな花奈ちゃんに、ありがとうと言いたい。

そして、きちんとプロポーズしたい。

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