“あなたを愛しています”







ふと、棚の上にハサミが置いてあることに気付く。

歩み寄って、背中で縛られた手でそれを取る。

そして……一か八か、ハサミを裏返して切りまくった。





ジョキッ!!

ジョキッ!!




嫌な音が鳴り響くが、一向に手は楽にならない。




ジョキッ!!




一体何を切っているのだろう。




ジョキッ!!





もうそろそろヤバいんじゃない!?





……ジョキッ!!!






今までよりひときわ大きい音が鳴った。

そして、すっと手が自由になる。

縄が解けた手には、痛々しい赤い跡が付いている。

そして、なんとジャケットの袖がボロボロになっていた!!





うわっ、このスーツ、なかなかいいものだったのに!





軽いショックを受けながらも、自由になった喜びを感じる。

だが、喜んでいる暇もない。

誰かに見つかる前に逃げないと!!





俺は縄の端を机の足に結びつけ、窓から下に足らす。

そして、部屋の窓から飛び降りていた。



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