“あなたを愛しています”





その瞬間、オフィスがしーんと静まり返る。

人々の視線を一斉に集めた。





「花奈さん、なに真剣になってるんですか?」



後輩に笑われ、



「どう見ても彼氏だったよ」



由希さんにからかわれ……



「良かったな、松島」



吉川さんに喜ばれた。

その言葉がズキッと胸に突き刺さるかと思ったが……意外にもダメージは少ない。

いや、ダメージは受けていないかもしれない。

こんな自分に驚きを隠せない。





「彼は花奈ちゃんにまんざらでもなさそうだったよ?」



「そんなことありません……」




そう言い返しながらも、司君を思うと胸が熱くなる。

……常識のない変人なんて、好きなはずないのに!!



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