“あなたを愛しています”









自分よりも年下の変な男……のはずなのに……

引っ張ってこられた和食の店は、極上の店だった。

都内にこんな店があるのかと思う、隠れ家的な創作料理店だった。



純和室の個室に、日本庭園が見える。

薄暗い情緒溢れる庭園からは水の音と、時折カコンとなる鹿威しの音が聞こえてきた。

そして運ばれてくる懐石料理は、お洒落でとても美味しかった。







「こ……こんな店……来たことないよ」



震える私に、



「それじゃあ良かった」



司君は嬉しそうに言う。

そして、日本酒を少し口にする。



うわー……

日本酒飲めるんだ……





「オトナだね……」



思わず言ってしまうと、



「うーん。三月で三十一歳だしね」



衝撃的な言葉が返ってきた。




「さ……さんじゅういち!?」





ちょっと待って……

何それ……!!

今、三十歳ってこと!?



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