“あなたを愛しています”





このただならぬ空気を何とかしなきゃと思い、



「司君の装花、すっごく良かったです」



苦し紛れに吐き出す。

すると、その子供っぽい笑顔のまま言う。




「なぁに?

今日はやけに素直やなぁ」



「素直……やな?」




思わず繰り返してしまった私を見て、彼は少しはっとした表情になる。

そして、気まずそうに告げる。




「ごめんごめん。俺、京都出身なんだよ。

お酒のせいで気が緩んじゃって……」





司君は嫌そうだけど……

むしろ私にとってはツボだった。

胸がきゅんきゅんうるさい。

方言の破壊力がここまで凄まじいとは思ってもいなかった。

いや、きっとこれはお酒のせい。

司君がお酒でおかしくなっているのと一緒で、私だっておかしくなっているんだ!



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