ほんもの。
ごめんって、と母の謝る声に笑って返す。まあ、あのことも今の私に多大の影響があった。
母との通話を切って、私は携帯をテーブルの上にペンと並べる。
キッチンの方を見て、シンクの下に眠る土鍋の存在を思い出した。
結局、あの後、安藤が実家に呼び出されたので、安藤の鍋を食べることはなかった。
料理やらないと。安藤、呆れた顔をしてた。
安藤も年末は実家帰るよね。そっちでも忘年会とかありそうだしなあ。
美人な幼馴染とか居そう。昼ドラかって。
寝ていた。ピピピピと聞こえる電子音に目が覚める。